ZEHって何?人と環境にやさしい家づくりを考える
公開日:2023/08/15 最終更新日:2023/06/02
これから標準になる、新しい家の形であるZEHをご存じでしょうか。補助金が出ることもあり注目が高まっています。ZEHとは家庭で使うエネルギーと太陽光発電などでつくるエネルギーのバランスをとることで、年間で消費するエネルギー量を実質ゼロ以下にする家のことです。ここでは、ZEHの内容、導入メリットなどについてご紹介します。
環境にやさしいってホント?ZEHとは
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、断熱性能の向上と、高効率システムの導入によって、室内環境のクオリティを維持しながら大幅な省エネを実現できます。
また、再生可能エネルギーなどを導入することで、年間の一次エネルギー消費量である空調や給湯、換気、照明などの収支を、プラスマイナスゼロにする住宅のことを指します。
ZEHが環境に配慮した住宅として、国が補助金を出してまで推進したい理由には、COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、日本が温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年対比で26%削減することを公約に掲げたことが挙げられます。
ZEHの普及が加速することで、エネルギーを極力必要とせず、エネルギーを上手に使うことで、環境に貢献できます。
エネルギーを増やす取り組みの一つとして、太陽光発電を導入するため、二酸化炭素を排出せずエネルギーを創造できます。
一般的な省エネ基準の家に比べて、ZEHマンションは約23%エネルギーを削減できるという試算がでています。光熱費が抑えられることでお財布にも優しい生活が実現できます。
ZEHを導入するメリットは?
ZEHを導入することでエネルギー効率が向上しますが、それ以外にメリットはあるのでしょうか。
補助金
国が定めた、ZEH住宅の基準を満たすことで、補助金がもらえます。
環境省と国土交通省、経済産業省が連携して支援事業を推進しており、2021年時点での補助金は、1戸あたり65~105万円です。
ZEH住宅を建てるためには、従来の住宅より設備費が必要になりますが、補助金を受け取ることができれば、それほど高い出費にはなりません。
コストダウン
断熱性能と省エネ効果の高い機器を導入することで、今までと比べて光熱費が抑えられます。
エネルギー消費量が実質ゼロになるので、光熱費もゼロになる可能性があります。今後何十年も生活する家なので、光熱費が浮くのはかなり大きなメリットです。
快適な生活
ZEHを満たした家は、冷暖房効率がよく、部屋の温度が安定するので、四季を問わず快適な温度で過ごせます。
室内の温度差が小さくなるので、冬に起こりやすいヒートショックでの脳卒中や心筋梗塞などのリスクを予防できます。
災害時の対応
太陽光発電と、蓄電池が搭載されている機器が設備されている家なので、災害時に万が一断線しても電気を使うことができます。
急な停電時にも、すぐに蓄電池から電気を供給できるので、生活レベルが維持しやすいです。異常気象や大規模災害が起こりやすい日本では、災害時に役立つのは大きなメリットといえます。
資産価値向上
省エネに特化したZEH住宅は、将来引っ越しや相続などで売却が必要になっても、資産価値が高い住宅とみなされるため、高値で売れる可能性があります。
コストがかかる?ZEHを選ぶ前に知りたい注意点
メリットばかりが目につくZEH住宅ですが、選ぶ前に知っておきたいポイントがいくつかあります。
コストがかかる
補助金はでるものの、やはり普通の家を建てるよりも初期費用はかかってしまいます。
省エネに優れた設備や創エネ設備など、高スペックの設備を導入することで、ある程度出費が高くなることは認識しておかなくてはなりません。
建物に制限が出る
太陽光パネルを設置することで、屋根のデザインが損なわれるなど、家の形状に制限が出ることもあります。
また、光を多く取り込める大きな窓にしたいと思っていても、断熱性能や機密性能を保つことが重要となるZEHでは、それらの効果が減ってしまうため、実現できないこともあります。
間取りやデザインにこだわりがある場合は、過去のZEHの建築事例から好みのデザインなどを集めておいて、建築プランを立てる際、住宅メーカーに伝えることをおすすめします。
充電が不安定
太陽光発電システムの発電量は、天気の影響を大きく受けるため、正確な予想をすることは難しいです。住む地域によっても変化し、設置にかかる初期費用が回収できないこともあるので注意が必要です。
まとめ
ZEHは光熱費を抑えられるほか、季節を問わずに快適な生活ができるメリットがありますが、初期費用が高くなるデメリットもあります。年間を通して使用する電力がかぎりなくゼロに近くなることで、30年、40年住むという長い視点で考えると、毎日の生活にかかる費用を軽減してくれるすばらしい住宅です。また、政府や自治体からの補助金制度も充実しており、環境にやさしいので、結果的にはコストパフォーマンスがよいといえるのではないでしょうか。自分たちで使うエネルギーは自分たちでまかなえる住宅が、当たり前になる日も遠くはないのかもしれません。